ECP Medical Book by 宮原眼科医院

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網膜硝子体手術やその適応疾患などについてご説明します。

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網膜硝子体手術について

硝子体組織がなんらかの原因によって網膜を牽引したりすることなどによって網膜へ光が達する妨げになる場合に、組織の除去を行います。

網膜硝子体手術

硝子体とは

硝子体とは眼球の器官の一つで、水晶体の後方にあり、眼球内の大部分を満たしている無色透明なゼリー状の組織です。

眼球の形を保ち、光を屈折させます。また、外力からのショックを吸収する役割を果たしており、年齢と共に構造が変化し、徐々に収縮・変性していきます。

ゴミや虫が飛んだように見える、いわゆる飛蚊症はこの硝子体が変性した影が見える状態のことです。
(※これは症状名であって病名ではありません。)

目の水平断面図:硝子体

網膜硝子体手術とは

硝子体組織がなんらかの原因によって網膜を牽引したり、炎症を持続させたり、混濁や出血を含むことによって網膜へ光が達する妨げになる場合に、組織の除去を行います。
また、網膜にできた穴(裂孔)等を治療する目的でも行われます。

硝子体手術の様子 1硝子体手術の様子 2
実際の硝子体手術の様子

手術適応疾患

網膜硝子体手術を行う疾患にはさまざまなものがあります。

糖尿病網膜症(眼底出血)

糖尿病の三大合併症の一つとして挙げられるものが網膜症。
働き盛りの年代に発症しやすいと言われています。
自覚症状が乏しい為、疾患に気付かずそのまま失明に繋がる危険性があります。
罹病期間が長いほど発症率も高く、血糖コントロールの状態が長期間悪いままの場合、網膜を始めとした眼組織に様々な障害を起こします。

血糖値が高い状態が続くと、網膜にある毛細血管がつまったり変形したりする等の負担を受ける為、血流が悪くなります。
その為、全体に酸素が行き渡らなくなるので、網膜が酸欠状態になってしまいます。

そこで、酸欠状態を補う為に新しい血管(新生血管)を作り、酸素を取り入れようとする働きが起こります。
しかし、新生血管は脆く傷がつきやすい為、簡単に破れて出血を引き起こしてしまいます。

また、出血が起こると網膜に増殖組織というかさぶたのような膜が生じ、これが原因で網膜剥離が起こる事もあります。

正常な眼底写真
正常な眼底 眼底出血している眼底
眼底出血したもの

網膜症はその症状や進行状況により、単純型網膜、症増殖前網膜、症増殖前網膜症に分けられます。

糖尿病網膜症(眼底出血)ついて詳しく

網膜剥離

眼の中でフィルムの役目をしている網膜に穴(網膜裂孔)が開き、硝子体中の水分がその穴から網膜のうしろにまわりこんで網膜が剥がれてくる病気。
体質・加齢・打撲・強度近視などが誘因と考えられます。
長い間剥離したままにしておくと、治療を行っても十分な視力回復は見込めなくなります。

剥離の原因となる硝子体の牽引を除去後、空気(またはガス等)を入れることで剥離した網膜を復位させ、その後、網膜裂孔の周りにレーザー処置を行い、裂孔を閉鎖させます。
状態によっては手術を行うこともあります。

網膜剥離裂孔治療前
網膜剥離裂孔の眼底
網膜剥離裂孔治療後
レーザー治療後の眼底

網膜剥離ついて詳しく

黄斑上膜

黄斑部

物を見る中心である黄斑部に膜が張る病気。
主な原因は加齢によるものです。生理的な変化により、網膜から離れた硝子体が一部黄斑部に残って分厚くなったものを指します。

膜越しに物を見るようになる為、視力低下を感じるようになります。
また、膜が収縮することによって網膜に皺を作ったり、浮腫(むくみ)を起こしたりする為、初期の段階で中心部に歪みや霞みが生じます。

進行すると、歪みの他に中心部視野が欠ける症状が出てくることがあり、その場合、手術で膜を除去した後、状態によっては眼球内にガスを入れます。その為、術後うつ伏せ姿勢をとる場合があります。

正常な状態の眼底断面図
正常な状態の眼底断面図
黄斑上膜状態の眼底断面図
黄斑上膜状態の眼底断面図

黄斑上膜ついて詳しく

黄斑円孔

物を見る中心である黄斑の網膜に丸い穴(円孔)が開く病気。
外傷や他の病気に続発して起きる場合もありますが、多くは加齢によるものと考えられています。
自覚症状としては、中心が見えなくなったり、物が歪んで見える変視症が起こります。

網膜から剥がれた硝子体が薄皮のように網膜上に残り、そのまま牽引する力が働く事によって、網膜に円孔ができます。

ごく稀に自然に改善することもありますが、一般的には原因となる硝子体の牽引を解除後、円孔を閉じる目的でガスを注入する硝子体手術を行います。
その際、術後はうつ伏せ姿勢をとる必要があります。

黄斑円孔状態の眼底
黄斑円孔状態の眼底
黄斑円孔状態の眼底断面図
黄斑円孔状態の眼底断面図

黄斑円孔ついて詳しく

網膜静脈閉塞症(黄斑浮腫)

網膜静脈閉塞症(黄斑浮腫)
網膜静脈閉塞症(黄斑浮腫)の眼底断面図

網膜の静脈が詰まって出血を起こす病気。
高血圧や動脈硬化が主な原因と考えられます。

閉塞する静脈の部位や出血・浮腫の多さによっては、急激な視力低が生じます。その他、視野障害、ものが歪んだり曲がったりして見える変視症を引き起こすことがありますが、まったくの無症状の場合もあります。

閉塞がひどい場合は、悪い血管が生じないようにする為にレーザー治療を行う必要があります。
また、黄斑部に出血や浮腫が強い場合は、手術を行います。

手術方法

  1. 局所麻酔(球後麻酔)を行います。
    下瞼の皮膚の上から眼球の後方に直接麻酔の注射を打ちます。
  2. 硝子体を切除する為に眼球の壁に小さな穴を3ヶ所開けます。
  3. その穴から細い器具を眼内に挿入します。
    硝子体を切る為のカッター、照明の為の光ファイバー、眼球形態を保つ為の灌流液を注入する器具の三点。
  4. 眼内の出血や濁りを硝子体と共に除去後、網膜にできた増殖膜や網膜裂孔を治療します。
  5. 取り除いた硝子体のかわりに、眼内に水・空気・ガス・シリコーンオイルのいずれかを置換します。
    手術時に硝子体のかわりに注入された水・空気・ガスは、次第に眼内で作られる液体に置き換わります。空気は10日、ガスの場合は20~40日程度で吸収されていきます。
    シリコーンオイルは自然吸収されない為、3~6ヵ月程度経過したら除去をする為の手術が必要になります。

手術自体は1~2時間程度です。(※状態によってはそれ以上かかる可能性があります。)

病状によっては白内障手術を同時に行う場合もあります。
すでに白内障がある方もいますが、白内障のない方でも硝子体手術を行うと水晶体に白内障が生じやすくなる為です。

近年、網膜硝子体手術における様々な手術装置・手技が開発されており、安全性が高まってきています。
中でも、25Gシステムを導入する小切開(0.5mm)での硝子体手術は、患者様への負担が極めて少なくなりました。

手術風景

手術後の注意点

  • 術後1週間は洗顔・洗髪・入浴・喫煙・飲酒・化粧は原則禁止となります。
    非常に大事な時期なので、眼に水を入れたり、刺激を与えないようにして下さい。
    濡れたタオルで顔や身体を拭く程度でしたら問題はありません。
  • 眼帯の代わりに保護用の眼鏡を使用して頂きます。こちらも術後1週間となります。
    外出時、室内での掃除等、眼にゴミや埃が入らないようにする為に必要となってきます。
  • 医師の指示に従い、術後の点眼を怠らないようにして下さい。
  • 仕事復帰に関しては個人差がある為、医師と御相談下さい。
  • 手術後、病状によってはうつ伏せ・座位・ベッド挙上・横向き等が必要になります。
    術後の体位も治療のひとつです。術後の体位は病状により異なる為、術後は医師の指示に従って下さい。
  • 手術後眼圧が急激に上昇して眼通が生じることが稀にある為、激しい眼通が生じたら至急医師へ連絡を!!
    手術の際に使うガスは膨張しない濃度に設定して眼内に注入しますが、手術後6時間の間は最も膨張率が高くなり、稀に眼圧が急激に上昇して激しい眼圧を引き起こすことがあります。眼圧が高い状態が続くと、最悪の場合失明に至る恐れがあります。
  • 水の中を覗いているように揺れ動く感じに見えたり、細かい点が見えたりします。
    眼内に空気やガスが入っている為、そのような症状が生じます。空気やガスは次第に少なくなり、最後には泡になって消えていきます。
  • 手術後、黒い輪のようなものが見えることがあります。
    1~2週間経過すると自然に消失します。
  • 手術後に充血やゴロゴロした感じが残ることがあります。
    時間と共に改善します。結膜を縫った場合は、1~2ヵ月で糸が自然に吸収されると共に症状も改善していきます。
  • 病状にもよりますが、手術後の視力は術後安定するまでに6~12ヵ月かかります。
    病気が治っても、物が小さく見える・歪んで見える・少し暗く見える等の症状が出る事があります。

白内障手術硝子体手術

このサイトでご紹介している病気や症状、治療方法については、代表的なものをご紹介していますが、実際の症状や治療方法などについては個人差があります。
症状などについてお心当たりのある場合は、眼科にて診察を受けてください。

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